君となら、死ねるかも。
「人ってさ。一人じゃびびってできないようなことも、誰かといれば意外とできちゃう生き物じゃん」
「……だから、『今なら死ねるかも』?」
「だって、そうだろ?」
「まぁ、そうだね。……そうだけど、」
そうだけど、如何せん、タイミングが悪い。
言おうとして、口をつぐんだ。それを言ったら、彼の言葉をほとんど肯定しているようなものだと、直前で気が付いた。
「そうだけど?」
「……なんでもない」
けれど、一足遅かった。彼は、今の私の言いかけの言葉だけで、確信を得てしまったようで、ニヤニヤと口の端を上げてこちらを見た。ひく、と顔が引きつる。
君には、君だけには、隠し抜きたかった。そんな類の感情が、ダムが決壊するみたいに、溢れ、溢れ、止めようとしても駄目だった。
だから、バレたくなかったんだよ。その上、お揃いとか、とんでもない爆弾隠し持ってるし。卑怯だよ、卑怯。じわりと視界が滲んだ。