君となら、死ねるかも。

「ちなみに、さっきの、どういう意味?」


会話を終わらせてもよかったけれど、そこでぷつりと途切れさせるのはなんとなく嫌だった。だから、惨めに縋った。脳の奥のほうで警鐘が鳴っている。


「……気になる?」


「別にそれほどは」


「うっわ即答じゃん……そういうときは嘘でもあるって言ってよ」


彼は、大袈裟に肩を落とした。その様子を見ても、心はちくりとも痛まない。


だって、彼は本気で言ってないし、本気で落ち込んでいるわけでもない。それに、私も、恐らく彼も、そこまで繊細になれないから。


普段なら、愛想笑いを浮かべて、適当に相槌を打っている場面だったけれど。嘘をついてまでこの場で取り繕おうとは思えなかった、それだけだ。


きっと、痛覚が麻痺している。
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