君となら、死ねるかも。

「聞こえよがしに呟いてたから、訊いてほしいのかなって思ったんだよ」


自分の口から出てきた言葉に、思ったよりも温度がなかったことに驚いた。偽物の免罪符を掲げて堂々としている自分はひどく滑稽だ。


たぶん、もう、心のどこかで、どうなってもいいと思っている。相手が誰でもそうだった?……わからない。


「それは優しさ?」


「……優しさだよ」


「本日の営業はもう終了したのに?」


「……」


私が何も言えずにいると、古瀬くんはしたり顔でこちらを覗き込んできた。


失念していた。みんなに囲まれる人気者は、口がうまい。
< 4 / 12 >

この作品をシェア

pagetop