君となら、死ねるかも。
私は、仕方なく走らせていたシャーペンを机に置き、書いていた一枚の便箋が風で飛ばないように、その上にペンケースを置いた。それから、机に手をついて、そっと席を立つ。
「見て、あれ」
私は彼のとなりに並び、窓からひょいと顔を出す。古瀬くんが指を差した先には、肩を並べて歩く男女二人組がいた。
その顔に、見覚えがあった。
「あの二人、そういう関係だったんだ……」
それは、うちのクラスの、おとなしめの二人だった。背が高い野球少年の彼と、生粋の文学少女の彼女。
二人は手を繋ぎ、頬を染め。誰かに見られているなんて知る由もなく、校門をくぐって行った。