君となら、死ねるかも。

バレた、と。真反対の位置にいる、一番バレたくない人に、バレてしまったと。終わった、と思って。


「お揃いの痕があるなーって。……思ったんだよね」


「…………へ」


しばらくして聞こえてきたのは、予想だにしていなかったもので。私はぽかんと、開いた口を閉じるのも忘れて、馬鹿みたいに古瀬くんを見つめていた。


今、彼は、なんて。お揃い?何が。手首の、痕が?


いや、今は、それよりも。


「……そんなの、いつ」


いつ、気が付いたっていうの。だって、私と古瀬くんは、特別接点なんてなかったでしょ。


最後まで言わなくても、彼には私が言わんとしていることが伝わったようで、


「気付くときって、案外すんなりと気付くもんだよな」


そうやって、答えのようで答えになっていない回答を口にして、ふ、と笑った。


それは、本気で面白がるでもなく、私を嘲るでもなく、ただただ、感情のすっぽり抜けた笑みだった。


それが、あまりに普段通りの笑みだと気付いてしまって、可笑しくなって。つられて私も笑った。そこに本心は、いつだってない。
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