笑っちゃうくらい解りにくいアイラブユー
ポラロイド、だろうか。
黒い背景の中に、白と黒が細かく混ざりあった何かがある。そしてその何かの真ん中あたりに黒く丸いものがふたつ並んでいるのが見えた。
しかしそれが何なのか、全く分からず、脳内は疑問符で埋め尽くされていた。
「……え、と……?」
「じ、実は、」
「……」
「赤ちゃんが、来てくれました」
視線が、上がった。
その先で、妻の潤んだ瞳が見えた。
「あと、その、双子、です」
恥ずかしそうに彼女が微笑んだのと同時に、ガタン、と足元で音がした。
持ち上がる、視界。己が思わず立ち上がったのだと、そこでようやく気付いた。
「あか、ちゃん……?」
「はい」
呟いて、今度は照れくさそうにしながら頷いた、妻。そんな彼女を見て、足の力が抜けて、再び尻は椅子へと着地する。
赤ちゃん。
双子。
そのふたつの単語を脳内で繰り返せば、またしても、ガタンと足元で鳴った音。高さの増した視界の中で、妻は驚いたような顔をしていたけれど、そこを気遣う余裕はなかった。
「……っ」
「こ、う、めい、さん……?」
ダイニングテーブルの向こう側に座っている妻の元へと歩き、彼女の足元へと跪く。
「ありがとう」
「……え?」
「僕と、出会ってくれて。僕と、家族になってくれて。そして僕を、父親に、してくれて」
膝に乗せられている彼女の美しい手をとって、震える声で己の気持ちを吐き出したあと、その指先に口付けを落とした。