君色を探して
ねえ、聞かせて。
側で眠る、彼の白い肌をそっと撫でた。
滑らかで、綺麗。
恥ずかしさも忘れて、魅入ってしまうほど。
あの出来事からしばらく経つのに、まだ慣れない。
こうして一緒にいられるのが信じられないくらい嬉しくて、あの頃よりもずっとずっと近くに彼を感じられるのが幸せで。
「……何してるの?」
声が降ってきて驚く間もなく、ジェイダの体はベッドに戻されてしまう。
「お、おき、起き……」
「起きてたよ。ずっと薄目で見てた」
ロイは意外に素早い。
いつの間にかジェイダが下になっていて、体の両脇には彼が手のひらをついていた。
「駄目だね。お姫様を満足させてあげられないなんて」
迫ってくるアイスブルーから逃れようとすれば、現れた首筋が捕まってしまう。
上下の唇に肌を挟まれ、咄嗟に口を閉じた。
「ほら、また。毎回、唇を噛んでたら血が出るよ。ジェイダが痛いでしょ。ここ、僕らの家だよ。他にいないんだから」
そういう問題ではない。
誰がいようといまいと――いや、いたら困るが――ともかく、これは条件反射だから仕方がない。
「それに」
下唇を一撫でし、ロイがニヤリと笑う。
「怪我でもされたら、キスできない。だからさ、ジェイダ」
ペロリ。
ただでさえ反撃できないというのに、舌先は容赦ない。
「口、開けててね」
・・・
ぐったりした体に口づけられ、本能的に身が竦む。
「大丈夫。もう、しないから」
クスリと笑った後、もう一度唇が当てられる。
「ごめんね」
ジトッと見上げると、やはり反省というよりは困惑の表情を浮かべている。
「だってさ、どうしたって反動が大きいんだよ。君、いちいち可愛いし」
「そ……それこそ、ただの反動だと思う」
会えなかった時間が長いだけ、大したことでなくとも見慣れないのだ。
「そんなことないけど。確かに……怠いよね」
またクスクス笑うロイから顔を背けると、長い指に顎の向きを戻されてしまった。
「まだ眠くないなら、少し話でもしようか。僕らが出逢う前や、再会する前のこと…何でもいい」
――もう一度、枕元で話そう?
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