君色を探して
Gemma
Gemma
『綺麗な子は神様が欲しがるの』
誉め言葉だなんて思わない。
まわりの人たちは、それを名誉なことにしたがるけれど、ジェマは当然納得がいかなかった。
『ジェマの髪は艶やかで美しいわ』
それなら、丸坊主にしてみる?
『唇だって赤く、ぷっくりしていてセクシーだし』
あのね、これは紅よ。
だったら、この色やめようかしら。
『……ジェマ。いいかげん聞き分けなさい』
人生を左右するのに、聞き分けろですって?
そっちこそ、無茶言わないでちょうだい。
『何と言おうと、お前が祈り子だ』
・・・
彼に出逢ったのは、そんな時。
正確には、それまでも何度か見かけたことはあったのだけれど。
『ねえ、ジェマ。彼、絶対あなた目的よね』
大通りを歩いていると、友達が肘で突いてきた。
(……確かに、よく見るなとは思っていたけれど)
今までは、気づいていないふりをしていた。
「よく会うわね。名前は? 」
なんて、こっちから尋ねるのもおかしいではないか。
気になってはいるが、もしかしたら盛大な勘違いの可能性もあることだし。
(それに、私は……)
ひとを好きになってはいけないから。