君色を探して
なのに、聞こえてきたのは称賛と拍手の音。
言葉と心の中との違いが情けなくて、ジェマはそっぽを向いた。
(……あのひとだ)
友達が気がありそうだと言った彼。
こんなところを見られて幻滅されるかと思いきや、彼はますます興味をもってくれたようだ。
ロドニー。
この男性もまた、昔から続く隣国との関係に疑問をもっていたらしい。
彼女の言うように口説かれたりなんてせず、およそ恋の発展とは遠い会話をただ繰り返した。
(……祈り子なんて、ううん、彼といるなんて)
申し訳ないくらい、勿体ないくらい素敵なひとだ。
ロドニーといると、荒んだ心がなだらかになる。
穏やかで優しい口調も、好意を隠そうともしない眼差しも。
それでいて、あの話になると突然強烈に皮肉ったり、熱くなったりするのだ。
『彼、変わり者みたいね。あなたなら、もっといい人がいそうだけど』
そんな声を、ジェマははね除けた。
(馬鹿言わないで)
変わり者?
おかしいことはおかしいと言っているだけだ。彼に会うまで、ジェマは知らなかった。
人を傷つけるのは強者ではない。
本当に強いひとは、同時に優しさも溢れている。
つい、攻撃してしまった自分が恥ずかしいほどに。