君色を探して

『そう言ってもらえるのは嬉しいけど……そうでもないよ』


少し照れくさそうに、ロドニーは一笑に付した。


『僕だって怒るし、怒鳴ることもあるし。あの時だって、君が言い返さなければ間に入ったさ。……ちょっとタイミング逃しちゃったけど』


「本当に! 」

何故かそう主張する彼に、クスクスと笑ってしまう。
別に助けてほしかった訳でも、彼を情けないと思った訳でもないのに。


『あ。やっと笑った』


突然言われ、首を傾げる。
いや、それもそうか。
彼の前では、いつもぷんぷんしている印象があるのかも。


『あの、そんなんじゃ……』

『よかった。嫌がられてるんじゃなくて。こう見えても心配だったんだよ』


――僕といると、いつも悲しそうだから。

そんなんじゃないの。
デートの誘いだって、もっと早くに受けたかった。でも、受けてしまったら――。


(こんなふうに止まらなくなる)


もうちょっと、もうちょっとくらい近づいたって。大丈夫よ、深入りしなければ。


(嘘吐き)


軽い付き合いなんて、お互いできるタイプではない。
好きだから、もう後戻りできないくらい大好きだから側にいるのに。

皆の言う神様は酷い。
再び文句を言いたくなるのを、どうにか堪える。
だって、心に宿るその存在はけしてそうではないと、ロドニーに教わったのだ。

でも、どうして。

気持ちが高まることを、 もう認めざるを得ない時になって――……。


『お前は正式に選ばれた』



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