君色を探して



・・・


『でさ、ロイが……』


食卓を囲んでも、最近のレジーの話題は専らロイのことだった。


『ロイ……』


隣ではジェイダが頬を膨らませている。
兄を奪われたようで、拗ねているのだ。


『ジェイダも、もうちょっと大きくなったらね。一緒にロイくんに会いに行きましょう』

『……はぁい』


今会えないことが不満なのではない。
ジェイダが大好きなのは兄なのだ。
少なくとも、この今は。


『ふふ。格好いい子みたいよ? 楽しみね、ジェイダ』


ピクリと頬がひきつるのを見つかり、ジェマが楽しそうに笑っていた。


『……からかわないでくれよ』


父親の反応が面白いのか、ジェマは度々からかってくる。


『だって、今からそんなことでどうするの? わりとあり得る話だと思うわ』


ロイはいい子だ。
素性は知れないが、服装やかつての言葉遣い、けして本名を名乗らないこと。
随分若い、じいやだというデレクの存在などなど。


(もしかして、いや、まさか――)


否、もし、そんなことがあるなら。
尚更、レジーやジェイダと仲良くしてくれるのは嬉しいことだ。



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