君色を探して
その夜、二人が仲良く夢の中にいる時間もジェマは悪戯っぽく続けた。
『レジーはジェイダを連れて行く気、満々よ。ロイくんを驚かせるんですって』
『あいつは……弟ができて、はしゃいでるからね』
レジーは近頃、背もぐんぐん伸びてきた。
ロイの前では格好をつけて、一丁前の男気取りだ。
まだ小さい妹の相手では、少し物足りなかったのかもしれない。
『ええ。同年代の友達がいなかったから……』
そこまで言って、ジェマが口をつぐむ。
何の気なし出た言葉が、その原因を思い出させてしまったのだ。
『ここにいたから、ロイにも会えた。きっとそれが一歩になるって……僕は信じていたいんだ。何より……』
――君がいたから、この愛しい存在たちにも会えたんだよ。
こんなふうになると、ジェマは頑なにこっちを見てはくれなくなる。
『ジェマ』
『……………』
ほら、返事さえしなくなった。
『ジェマって』
無視しているのではない。
この愛してやまない強情やさんは、すぐには泣いてくれないし、甘えてもくれないのだ。
『後悔しないで』
『……っ、そんな、私のせいで……っ』
先は言わせなかった。
ジェマのせいではない。
悲しくなることも、大変なことも多いけれど。
それを嘆いて、今ある幸福を台無しにしたくはなかった。
大切なひとをこうして抱いて、口づけているのに。
悲しみに溺れるなんて、どうしても嫌なのだ。
(君もそうでありますように)