君色を探して
・・・
空っぽだ。
この体も心もすべて虚ろ。
その間思うのは、いつも同じことだ。
(こんな男とこんなことをして、一体何が彼女たちの心を満たすんだろ)
「アルバート様」
媚びるように呼んでくれるのに、一方で気持ちの確認はしてくれない。告白はおろか、デートだって。
確かにそれは、ロイにとっても不都合はないのだけれど。
(好きな人からこんな真似されれば、普通悲しむもんじゃないのかな)
一時の快楽を得られても、心は絶え間なく痛むものではないだろうか。
つまり、アルバートと閨を共にしたという事実のみが、求められているのだった。
・・・
『それはお前にも非がある』
兄に愚痴をこぼすと、彼は呆れたように言った。
『お前の言う通り、第二王子の寵愛が欲しいのか。それとも、美形の王子様と遊びたいだけかもしれんが』
『………まだ、そこまではっきり言ってないけど? 』
アルフレッドは長い前置きを端折り、簡潔に言い表した。
文句をつけてはみるものの、全くその通りなのでそれ以上のことは言えなかった。
『だが、お前が教えていないものを、どうして知れる? ロイの存在を隠したままで、尻軽のように言われては不憫だろう』
『……そっか。それもそうだね』
中身を見てほしいと願いながら、自分自身が拒んでいるのだ。
触れることはおろか、見せることすら。
『ま、そんな女がいないとは言わないが』
兄にも身に覚えがあるのだろう。
次期王様ともなれば、自分より誘いも義務も多いはずである。
『それに』
言うか言うまいか悩む素振りを見せた後、アルフレッドがやっと口を開いた。
『その女よりも、お前の方が傷ついた顔をしている』
男の自分が、そんなに悲痛な顔をしていただろうか。
『頼まれたのか。だとしても……』
その問いに答える必要はない。
『時には、遊び人の第二王子の方がいいこともあるみたいだよ。……兄さんほどじゃないさ』