君色を探して
レジーの視線が鋭かったからか、それとも自らに思うところがあるのか。
何にしても、皆ちりぢりに散ってしまった。
『……駄目ね、私。恥ずかしい』
祈り子に選ばれて、敵と言われた国に滞在して。
痛みにも優しさにも触れてきたのに、みっともない喧嘩を興じているなんて。
『まあな、恥ずかしいのは恥ずかしかった』
兄は容赦ないが、事実なので仕方ない。
(成長がないな、私って)
怒りを堪えながらも、毅然と意見を言えるのはすごいことだ。
自分の場合は泣いたし、怒ったし……どうも感情が先走ってしまう。
『……けど、駄目じゃない』
なのに、レジーはそう言ってくれた。
目を丸めていると、兄はニッと笑ってみせる。
さっきまでの会話を忘れたように。
『俺の前じゃ、そんなだが。わりと言われるんだぜ? 』
――お前が、綺麗になって帰ってきたって。
『え!? 』
まさか。
トスティータで過ごした日々は、長いようで短い。
外見を変化させるような時間ではないし、この歳になればそうそう変わるものでもない。
『ロイを焦らせてやれよ。あのムカつく王子様が余裕をなくしているのは見物だ』
『……兄さん!! 』
意地悪な兄を諌めると、ふっと息を吐き、目を細めた。
『……大丈夫だよ。お前らは、駄目になんかならない』