君色を探して
そう言われて、言葉に詰まる。
「……畏れ多いことです」
『父などではない』
何故、すぐにそう訂正しない?
ロイ――アルバートは先王の子。
我が子などと呼べる存在ではない。
それどころか、今では彼自身が我が主だと思っている。
「デレクさんが認めなくたって、お父さんです。だって、ロイがそう思っているから」
「馬鹿な。ロイ様がそんなこと仰るはずは」
ない。
その打ち消しも、やはり口にすることができず。
「ロイは言わないけど…それはデレクさんを困らせたくないからだと思います」
そう言われて喜びすら感じてしまう。
「………大切に思っております。間違いなく」
断言したのか、言い淀んだのか。
ジェイダは後者と取ったのだろう。
ちょっとだけ、苦笑いをして。
「小さい頃のロイ。可愛かったでしょうね」
そう、話を振ってきた。
「正直に申し上げれば、なかなか手強かったですが。でも、それでいいのです。そんなご幼少時代を、もっと過ごして頂きたかった」
アルバートから、ロイと名乗るまで。
彼の成長は、あまりにも急すぎた。
「だから、これからは……せめて、貴女の前では」
彼らしく、生きてほしいと思うのだ。