君色を探して

・・・



「デレク。すまんが、頼んだぞ」

「承知しました」


トスティータ王子の誕生。
そのお目付け役に任じられた時、正直困惑した。


(なぜ、私が……)


選ばれた理由も不明だし、そもそもお目付け役とは何をすればいいのだろう。
護衛でも、先生でもなく。
恐らく、そのどちらも兼任せねばならない。


「……この先、面倒事が起こらぬように」

「………はい」



――面倒。


愛らしい我が子を前に、何故そのような単語が紡がれるのか。
何故、他人の腕にいる子を、数歩離れて眺めていられるのか。


「よろしくお願いします。……アルバート様」


何も分からぬ赤ん坊に、そう声を掛けずにはいられなかった。




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