君色を探して
「はあ……」
ようやく、アルバートは夢の中。
誰もいないのを確認し、デレクは深く息を吐いた。
(……先が思いやられる……)
それにしても、女性はすごい。
育児、家事、他所での仕事。
子供が成長するまで、何年もこなしていくのだから。
自分など、こんなことすら大騒ぎであるというのに。
「アルフレッド様、はしゃいでいらしたわね」
女達の声。
「ええ、弟君がお生まれになったのだもの。そうしていれば、年相応の子供に見えるのに」
「あまり懐いて下さらないものねぇ。可愛いげのない」
「しっ! 誰かに聞こえたらどうするの」
大声で話せば、誰の耳にも入るというのに。
(4人……)
姦しい声を数え、はたと気づく。
「………そうか」
廊下の声だけで、しかも身の回りの世話をする女性だけ。
それだけで、アルフレッドには少なくとも4人いる。
当然、他の教育係や護衛達は別にいるのだ。
また、何人も。
「申し訳ありません、アルバート様」
男一人で、てんやわんや。
そりゃあ、泣き叫びたくもなるだろう。
(しかし、世の中には父親だけの世帯もあるのだから)
天使のような寝顔を見つめ、デレクは決意した。