君色を探して
・・・
『でれく』
たどたどしく呼ばれた時は、本当に嬉しかった。
短い腕を広げ、危なっかしく駆け寄られて。
思わず抱き留めてしまい、申し訳なさを覚えたことなど数えきれない。
だが、そのあどけなさも束の間のこと。
年を重ね、彼が自分の置かれた状況を察するようになると、その明るい笑顔が陰り始めて。
自暴自棄になったのだろうか、デレクの手に負えない時もしばしば。
だからと言って、放っておけるはずもない。
不敬罪覚悟で、叱り飛ばしたりもした。
いいのか、悪いのか。
誰も咎める者はいなかった。
『アルバート様!! 』
横目でチラリと見る、実父の視線。
それが悲しくて泣きたくなるのは、実はアルバートだけではなかったのだ。