君色を探して
それにしても、今日は遅い。
トスティータの日照時間は短いので、次第に不安も大きくなる。
国の端に位置するここは、王都に比べれば日が強い気もするが。
それでも心配には違いなかった。
(まさか)
人拐いにでも遭ったのか?
豪華な服は着ていないが、品質はいいものだ。
王子とは思わないまでも、上流階級だと目をつけられたのでは?
「それにここは……」
――禁断の森の近く。
・・・
帰ってきたアルバートを見て、ひっぱたいてやろうかと思った。
たとえ、罰せられようとも構うものか。
(どれほど心配したと)
だが、伸ばした手はそうしなかった。
小さな体を、思いきり手繰り寄せて。
(なぜ、そんな不思議そうにするのですか。何をそんなに驚くことがあるのです)
目を見開いて、かなり遅れて嬉しそうにする。
その子を前に、ぎゅっと抱き締めることしかできなかった。
「心配したのですよ。私の――」
大切な、大切な、あなた。