君色を探して
Emilia
Emilia
ぼんやりと景色を眺めた。
ポカポカするとまではいかないが、ほんのりと暖かい。
前まではあり得なかったこの空気が、キリリと胸を締め付けてやまない。
(王妃失格ね)
凍てつくような寒さに苦しんできたこの国では、嬉しい変化だというのに。
素直に喜ぶことができないなんて、あるまじきことだ。
否――……。
(最初からそうだというのに、烏滸がましいこと)
いいお妃様気取りを、もう始めるようになったのか。
罪人の分際で。
「こんなところにいたのか」
声を掛けられて、驚いて振り向いた。
彼は相変わらず、気配を読ませない。
「あまり、うろちょろするな。私が人気者の王様ならいいが、残念ながら一部の者にはそうでもない」
――妻である自分にも。
「十分、人気者ではありませんか」
「……皮肉か? そういう意味では、あいつの方が適任だったが」
ロイの監視も厳しい。
企んだことを思えば当然のことだったが、いっそ罰してほしいと思う。
ここにこうして一人でいれば……そう思ったこともある。
けれども彼はそうはせず――今もこうして、夫の側にいられるのだった。