君色を探して
どこかで見張られているのだろうか。
幸運にも、エミリアに訓練された者の姿を見つけることはできなかったが。
それでも自室で全てを見られ、聞かれるのは耐え難い。
「大丈夫です。貴方様の迷惑になるような事態が起きれば、止めに入るでしょう」
特に近頃は。
「……自棄になるな。今や貴女は“寵愛を受けた”お妃様だ。不愉快な言い方で申し訳ないし、私が言うのも何だがな」
羞恥に襲われたのは、少し前のこと。
それが城内に広まる原因に、心当たりが多くあることに呆れてしまう。
「すまない」
「貴方様が謝ることなど、何も」
寧ろ、随分待たせたのだろう。
我慢していたのか、大して欲していなかったのかは関係ない。
王とその妃が、夜にただ横になっただけでいる。
それが問題なのであって、お互いが求めているかどうかなど無関係なのだ。
「そろそろ、気に留めなくなるだろう」
「でも……私は」
裏切り者だ。
一糸纏わぬ姿でも、側にあるグラスに毒を盛るかもしれない。
事を終えた後、眠る夫の首を掻き切るかも。
だから、至極当然のことだ。
「仲がいいね」
その声にギクリとし、肩が揺れた。
「……ロイ」
(何をしていたのでもないのに……)
アルフレッドを殺そうとしていた訳ではない。
ただ、話をしていただけなのに。
それですら、睦まじい夫婦の会話からは程遠い。
だというのに、はっきりとこの身は震え、ロイがそれを見過ごすはずもなかった。
「やっかむな。……ジェイダの様子はどうだ」
「元気そうに振る舞ってるよ。クルルも時々雨が戻るみたいでよかった。そんな文をどんな顔をして書いているのか……会って、早く確かめたい」
急いた表情が羨ましい。
ジェイダは本当に愛されているのだ。