君色を探して



翌日。
またぼんやりと庭を眺めていると、ロイに出くわした。


「先客がいたね。邪魔してもいい? 」


そう言われ、嫌だと言えるはずもないが。


「ここがお好きなのですか? 」


皮肉まじりに尋ね返してしまう。
何もない、ただ広いだけの庭。
自分を探りに来たとしか思えなかった。


「うん。前、ジェイダと話をしたなと思ってさ。あの頃の僕らは、まだ喧嘩ばかりだったけど。……あの苛立たしさが恋しいくらい」


ジェイダに関しては、彼の感情が読み取りやすい。
隠す必要もなければ、隠しきれる想いでもないのだろう。


「それでは……外しましょうか」


自分に用がなく、思い出に浸りたいのなら長居は無用だ。
何より、彼と二人きりは落ち着かない。


「ううん。少し、話でもしない? 親睦を深める為にも。一応、僕は君の義弟だしね」


だが、ロイは許さなかった。


「話とは?」


ロイと二人、一体何を話題にすればいいのか。いや、そうではない。


「……君はなぜ、繋がれているんだろうね」


話の種など、ひとつしかないではないか。


「野放しより質が悪い。なぜ、兄さんは君を手放さないんだろう。……そう思ったことはない? 」


そして、その理由も同じ。


「それは、わたくしの信用がないから。当たり前ではありませんか」


何を今更。
そんな分かりきったことを、どうして尋ねる必要がある?






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