君色を探して
・・・
『女の子に甘い男だったっけ? 』
頬杖をついて兄を見上げれば、アルフレッドは明らかに気分を害していた。
『………またその話か』
『昔は結構泣かせてたよね。違った? 』
確かに、王の努めとやらもあっただろう。
だが、王様もただの男。
昔はそれなりに色々あったはずだ。
『お互い様だろう、ロイ。ジェイダに言えないことがないとは言わせんぞ』
『僕は、本気になってくれそうな子には手を出してないもの。彼女たちが好きなのだって、アルバート王子のことだしね』
それはともかくとして、急に変わった何故なのか。
まさか本当に、骨抜きにされたのではないだろうが。
『……他にもいるだろ』
アルフレッドの眉が上がったが、ロイは知らないことにする。
『王様なんだから、何もおかしいことじゃない。寧ろ必要だとも言えるし……アルにできない訳じゃない』
愛人や第二夫人の存在は、よくあることだ。
王子の誕生が望まれる今では、エミリアとの不仲説が話題に上ることもある。
ならば、この際――そのような失礼な提案も、耳に入っているだろう。
『エミリア以外に触れるのが』
ロイは避けなかった。
飛んでくる拳に、ふっと笑い声が漏れるほど。