君色を探して
・・・
「大丈夫か」
夫と寝室にいることに恐怖はない。
けれども、羞恥からはまだ少し遠い。
「ロイか? 」
それでも体が震えているのに気づき、アルフレッドは言った。
「いいえ。ロイ様にも感謝しています」
怪訝そうに眉を寄せた、彼の前に跪く。
「……っ、と……どうし……」
(ずっと、どんな気持ちで……)
庇ってくれていたのだろう。
隣にいてくれたのだろう。
「……抱いて、下さいますか」
この身に触れていてくれたのだろう。
「エミリア……? 」
言ってしまってからやっと、恥ずかしさが込み上げてくる。
「……駄目ですか」
知らずのうちに首にしがみついていた腕が、落胆のあまり緩んでいく。
「駄目ではないが……何か言われたのか? あいつに」
照れたり、がっかりしたり……ほっとしたり。
この目まぐるしい感情が、きっと。
「背中を押して下さったのでしょう。私たちの為に、ご自分を悪者になさってまで」
――恋しいというのだ。
腕が彼の首から解ける前に、アルフレッドが背中を支えてくれていた。
そのことに、これほど安堵するのだから。
罪を許されてはいけない。
結果、何も起きなかったとはいえ、この穏やかな日々を混沌と悲しみに突き落としていたかもしれないのだ。
「私を信じてしまわないように」
剣を彼の側へ。
「……何を」
けしてそんな真似はしない。
それは誓って言えるけれども、胸の奥にしまう。
「おかしな気配があれば、いつでも。だから、どうか」
彼に辛い思いはさせない。
だとしても、“信じてほしい”などと、口にしたくはないから。
「私を貴方のものに」
剣とともに、側に置いておいてほしいのだ。