君色を探して


「男の髪など、面白くもないだろうに」


落胆してしまっていたのか、アルフレッドは苦笑し――。


「え……? 」


――髪を解いた。

さらり。
長髪が肩に落ちてくる。


「あ……アルフレッドさ……」


彼が覆い被さってくれば、自然とこの胸にも。


「これ以上、ふざけたことは言うな。……随分と余裕だな、エミリア」


唇や指先が触れるのは、彼にとって義務なのだろうと思っていた。
仕方なく、アルフレッドには選択肢が与えられないことだと。

けれど――。

初めて自分の前で、ありのままの姿を見せてくれたようで。涙が止まらなかった。


大したことではない。
幾度か体を重ねた今となっては、些細なことかもしれない。


「私は貴女を殺せる」


再び、物騒な台詞が耳元で聞こえた。
恐ろしい言葉なのに、彼の動きはあまりに優しすぎる。


「だが、貴女には無理だ」

「そんなの……っ、分かりません」


可否が問題なのではない。
たとえどんなに僅かであろうと、虞(おそれ)があれば排除するべきなのだ。


「そんな状態でよく言う」


真上から見下ろされ、思わず目を逸らした。
殴ってやりたいくらい腹が立つのに、また涙が生まれる。


「認めてしまえ。……お前には無理だ。もう、ずっと前から」


私を、愛しているから。





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