君色を探して
「お二方とも、ようこそいらっしゃいました」
あまりの美貌に目が眩んだ。
来賓室に通されたまま突っ立ち、息を飲むのも忘れたようにただ惚けているしかできない。
「これは……アルフレッドが熱を上げるのも頷けるな」
「……誰が言った」
キャシディの発言にムスッとしたものの、アルフレッドは訂正しない。
本当に愛し合っているのだろう。
「ありがとうございます。そちらがニール様ですね」
ふんわりと微笑まれ、返事すらできない。
兄に肘で突かれ、慌ててコクンと頷いてみせた。
「あ……あの、あの、その……っ」
言葉らしい言葉が出てこず、恥ずかしい。
だが、それも仕方ないではないか。
他国のお妃様とはいえ、女性がこれほど近くにいるのだから。
「ずっとお目にかかりたかったんです! ロイ様にお話を伺ってから、ずっと」
興奮気味のエミリアの手が、肩に乗った。
まさか、このまま抱き締められてしまうのでは……。
「エミリア。ニール殿が困っている」
すんでのところで助けが入り、ほっとする。
「困るのは貴殿じゃないか、アルフレッド? 」
兄が茶々を入れたが、アルフレッドは聞こえないふりを装っているらしかった。