君色を探して



マロにつられて飛び出すと、そこは迷路のような廊下。
お城なのだから当然の如く、迷いやすいようにできているのか。


(……あれ…? )


それにしたって、方向を失うのが早すぎる。
どこから出てきたのだったっけ。
いや、もしかしたら、既に角を曲がったかもしれない。


《おーい、こっちこっち! 》


そう言われても、マロの声は音として耳から入ってくるのではない。
どこから呼ばれているのか、さっぱりだ。


「どこにいるの!? 」


声はすれども、姿は見えない。
子リスどころか、城の人たちも。


(会談が終わるまでには戻らないと)


兄に見つかれば大目玉をくらうだろうが、それで済まなければ大変なことになる。
飛び出したのを早くも後悔した時――。


「こんなところで、どうしたの? 」


声を掛けられて、ほっと息を吐く。

助かった。
おかげで、どうにか部屋に帰ることができそうだ。


「申し訳ありません。迷ってしまって……」


救世主を見上げて、思わず吐いたばかりの息を吸い込んでしまう。



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