君色を探して


「お連れの方は? どちらにいらっしゃるのかしら」


心配そうに覗き込まれ、かあっと顔が熱くなる。


「あ、あの……」


綺麗な女の子だ。
もしかしたら、あのエミリア王妃よりも。
いいや、多分、今まで見た中で一番――……。


「…………分かりません」


(何を言ってるんだ……!? )


兄やアルフレッドとはぐれたことを言えばいいだけだ。
そうすればすぐに帰り道を教えてくれるだろうし、きっと人を寄越して部屋まで送り届けてくれるだろう。

なのに、言えない。
恐らく高貴なひとでありながら、しゃがんで視線を合わせてくれる。


「そう……探させるから、よかったらその間私の相手でもしてもらえる? ちょうど退屈していたの」


サラサラの金髪が美しい。
澄んだ湖のような、その瞳も。


「あ……ありがとう、ございます」


赤い実みたいな唇が、ニールの足を留まらせた。


(……すみません、兄上)


押し寄せる罪悪感は、兄へのものか。
それとも……惹き寄せられてしまう、自分へのものか。



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