君色を探して


彼女はオーリーといった。
歳は十代半ばくらいだろうか。
気さくで話しやすく、表情もころころ変わる。
大分年下のニールでさえ、可愛らしいなと思うほど。


「ねえ、クルルは暑いのでしょう? どんなところ? 」

「そうですね、ここよりずっと暑いです。でも、前よりは過ごしやすくなってきました」


異国――ほんの少し前まで敵だった国の者。
そんなニールに何のわだかまりもなく、腫れ物とすることもなく。
彼女は直球で話題にしてきた。


「行ってみたいな。私、まだクルルに行ったことがないの。大好きなひとが住んでるっていうのに」



それを聞いて、熱が一気に引いていく。
何をがっかりしている?
それなりの身分であれば、彼女くらいの年齢で相手がいてもおかしくはない。
まして、単なる恋なら尚更だ。


「クルルにいらっしゃるんですね。それでは寂しいでしょう? 」

「ええ。でもね、今度は絶対に会いに行くと決めているの。あの方が成人される記念式典だから……側でお祝いしなきゃ。お父様が何て言ったって! 」


記念式典とは、相手もすごい身分らしい。
もしかしたら、名前くらい聞いたことがあるかもしれないが。
とても深く尋ねる気にはならなかった。




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