君色を探して
『あんまり豪華だと緊張しちゃうわ。もう、あんなに大勢の人の前に出るなんて無理だもの』
はにかんで笑う彼女に、ロイも困ったように肩を竦めて。
『君は度胸あると思うけどね。……本当にそれでいいの? 式の規模を小さくしたって、他のものまで質素にする必要はないんだよ』
華やかで、上質なウェディングドレス。
大輪の花々。
凝ったレースをあしらったヴェール。
そのどれも準備するのは大変だが、二人にとっては可能なことだというのに。
『いいの! 私ね、自分や大好きなひと達と準備するのも夢だったんだ』
と、ジェイダは言ったものの。
「ごめんなさい、ハナさん。付き合ってもらっているのに愚痴なんて」
彼女は何というか、かなり不器用だった。
「ロイには内緒にして下さいね。あんな大見得を切っておいて、この有り様だってこと」
ばつが悪そうにする彼女に、ロイはとっくに察しているだろうことを教えるべきか悩み――やはり言わないでおいた。
「まあ、今の若い子はそんなもんさ。時間はあるんだし、そのうち上手くなるだろ」
「そ……そうですか? いえ、そうですね! 頑張ります」
この様子だと、ちょっとばかり不格好な仕上がりになりそうだが。
「ああ、その意気さね」
頑張りやの花嫁さんだから大丈夫。
きっと、可愛らしいヴェールが出来上がるだろう。