君色を探して
クルルの乙女。
そう呼ばれる少女の存在は、何となく知っていた。
『雨乞いなんて馬鹿らしい。この時代に、まだそんなことをやっているなんて』
皆、そう言うのだ。
『私にジーニーがいるように、あなたにもご加護がありますように。ジーニーを幸せにしてくれる出逢いが、きっとあるわ』
祖母はよく、そう言ったっけ。
ジーニーなんて、とんでもない。
何か彼女の為に、できたことがあっただろうか――今更問うても遅いけれど。
そのような会話が常日頃あったからか、バージニアは特に不思議に思いはしなかった。
神聖なものは存在する。
そんな考えですらあったのだ。
だが、アルバートから告げられたのは、想像と全く異なる酷い現実。
「……だからね。いっそ連れて来ようと思うんだ。クルルの猛暑は、日増しに酷くなっていると聞く。そんな太陽の下、何日も祈るなんて無茶だ」
「しかし、万事上手くお連れできたとして…外交問題になりませんか? 」
命綱として頼る少女を、勝手に奪い去るなど。
「それなんだけどさ。幸い、クルルの乙女は女の子でしょ」
「はあ、かと思いますが」
嫌な予感がする。
この顔のアルバートは、突拍子もないことを言い出しそうだ。