君色を探して
はすっぱな言い方に、彼女は目を真ん丸に見開く。
汚れを知らないような輝きに、少しだけ後悔した。
事実は事実だったが、言い様というものがあろう。
『ごめんなさい。……そう、なのよね』
口さがない者はいるものだ。
それこそ、どちらの国にも。
自分の痛みには敏感で、ひとの苦しみには想像力が乏しい。
彼女だって、そう教えられたにすぎないのに。
『もっと教えて。今の、あなたの国を』
気まずさを払いのけるように、女性は言った。
今度は少しばかり悲しみの色を滲ませ、それでも意志の強い、美しい瞳のままで。
彼女と話すなかで、いろんな発見が沢山あった。
彼女は花売りであること。
最近は売り上げも芳しくなく、手元には暑さに強い赤い花ばかりであること。
けれども、その花を嫌いになれないこと。
ちょっとだけ――彼女の弁によると、だが――ちょっとだけ嬉しいのは、その花のおかげでいい感じになれた男性がいること等々。
『ここには他にも咲いてるかなと思って……咲いているには咲いていたけど』
『そうだね』
――とても摘む気にはなれない。
『でも、来てよかったわ。実は、ムカムカして飛び出して来たって理由の方が大きいんだけど』
ああ、やっぱり同じ。
『あなたに会えたもの』