君色を探して
・・・
「ハナさん? 」
ジェイダの声で、意識が呼び戻される。
気がつけば、ポットを持ったまま固まっていた。
「すまないね。何から話そうか、言葉が見つからなくて。ボケたかねぇ」
腕が怠いと思えば、お湯はちっとも減っていない。
それもそのはず、カップには一滴も注がれていなかった。
「いいえ。ゆっくりでいいですよ」
「そりゃ駄目だ。仕上がりが遅くなるよ」
気遣っての言葉に、つい皮肉りを返してしまうのも相変わらず。
(成長しないねぇ、私も)
「ま、今日は初めてだからね。ぼちぼちでいいさ」
自らに苦笑して、彼女が待っている話題――ロイのことを思い出した。