君色を探して
・・・
「まったく……皆して、僕の情けないことばかり彼女に告げ口するんだから」
慣れないことに疲れたのだろう、ジェイダはすやすやと眠っている。
「結婚してから一気にばれるよりいいさ。それに、ジェイダはそう思ってないよ」
うねった毛先を指に絡め、暫し楽しんでから髪を撫でる。
たったそれだけのことで、彼はとても満足そうに口許を緩めた。
「……前、言ってくれただろ」
何とかこっそりと、製作中のヴェールを仕舞おうとしたが。
ロイは苦笑して、見ていないとアピールするように彼女に目を戻す。
「僕は手に入れたよ。僕の望む……大切なもの。腕にすっぽり収まったままではいてくれないけど、もう手離そうなんて思わない」
彼の腕で騒いでは暴れるジェイダを想像し、笑みがこぼれる。
「それくらい元気な子がいいさ。言ったじゃないか、お似合いだよ」
「はは。“普通”の子? 」
ちょっと前のことなのに、ひどく昔の会話に思える。
小さなロイと過ごしたことが、あのクルルの女性と出会ったことが近く思えるからだろうか。時間軸が混乱していた。
「……いいや」
――あんたにお似合いの、綺麗な子だ。