君色を探して
Cassidy
Cassidy
荒野はいつ来てももの悲しい。
何もない、ただの砂地にすら見える。
本当に、かつてここに人が住んでいたのだろうか。
僅かではあるが、暑さが引いた今。
余計に寂しく感じてしまう。
否――……。
(言い訳だな)
ただの荒れ果てた土地にしたのは、ささやかな光を奪い、消してしまったのは。
以前の王であり、父であり――そして今王となった己だった。
「ありがとうございます、キャシディ様」
一番相応しくない言葉を、一番あり得ない人物から貰ってしまった。
「……何を」
恨まれる原因は多すぎて、感謝される理由はひとつもない。
なのに彼女は、いとも簡単に口にするのだ。
「いつも来て頂いて。両親の為に祈ってくれて」
痩せた土には小石も混じり、服を通して肌を傷つけてくる。
そこにいる、ただの女性。
あのままいけば、彼女に強要する羽目になっていた。
そう思えば、膝よりも心が痛んで仕方なかった。