君色を探して
案の定。
「僕があの森にお忍びで出かけたら、そこには麗しの乙女。元々自由奔放な王子様は、身分やその他の事情を忘れ恋に落ち……つい、さらって来ちゃいました。……ってのは、どう? 」
(どう、と言われても)
それで護衛。
異国の――敵国の少女を守る為の。
城外には出ないとしても、危険がないとは言いきれない。
「助言を求めておいでなのですか? 」
どうかと尋ねられれば、危険極まりない案だ。
その女性が協力してくれればいいが、あることないこと騒がれたらどうする?
最悪、こちらの実情が露呈して攻められる。
「……いや」
頭を振り、彼は笑った。
「君が信用できると賭けたうえで頼んでいる。お願いできないかな」
悲しい笑みだ。
協力を断り、かつ、おかしな行動に出れば……まず間違いなく消されるだろう。
そう知りつつ、彼に言わせるつもりはなかった。
「こんな状態では、いつか二国とも滅びてしまう。それに僕は、クルルの人が優しいって知っている。共にあれると信じていたいんだ」
『大人になっても忘れないで』
甘い、甘い、理想。
でも――。
『ジーニー』
「必ず、お守りします」
『あなたの気持ちのままに』