君色を探して
くらり。
重心が揺れたのを誤魔化すように、笑ってみせた。
上手くいっただろうか。
残念ながら、こういうのは得意ではないが。
「レジー」
「さすが、似合ってるな」
彼の身分を考えれば、あまりに簡素な式だ。
式場も狭く、集まった人数も少ない方なのだろう。
服装も上質とは言えないが、育ちのせいか青空とテーブルの他にはほぼ何もない会食の場でも、何とも王子様らしい雰囲気を醸し出していた。
「言う相手が違う。あのさ、言いにくいんだけど」
しんみりするのを避ける為だろうが、彼はわざとらしく眉を下げ――すぐにニッと唇の端を持ち上げた。
「もらってくよ」
「今更だろ」
彼がジェイダを奪っていったのは、もう随分前のことだ。
「……とっくにお前のもんだ」
甘く、優しい王子様。
もしも彼がそれだけの男なら、もちろん渡しはしないが。
いつからか、ジェイダは惹かれたのだと思う。
その奥に隠れていた、レジーも知るロイという男に。
「……なかなか手強かったけどね」
今度は笑えた。
自然に、心から。
「僕を許してくれてありがとう。それから」
――必ず、幸せにする。