君色を探して
「そっちこそ、言う相手を間違えてる」
ああ、ロイはこういう奴だった。
生意気で、可愛げがないところが可愛い。
けれども、ひとの痛みが分かる――いや、彼自身が多くの痛みを抱えてきたから――真摯な心をもった。
「間違えてない。レジーは彼女の家族……」
「お前の兄でもある、な」
――弟だ。
大きくなった。
随分、大きな男になった。
時間が止まっていたのは己の心だけで、苦しみながらも成長し、夢物語を成し遂げてみせた。
「……うん」
「よかったな」
空に呟けば、両親の顔が浮かぶ。
それはやはりぼやけていて、近頃はまた思い出すのが難しくなってきた。
(……よかったんだな、親父)
父自身は想いを遂げられなかったけれど、彼の結末は望んだものではなかったけれど。
遺したものは、確実にここに根づいている。
『レジーは立派なお兄さんだ』
とてもそうとは言えないが、これからは二人を見守っていたい。
だから、安心して。
『こら。あんまりロイをからかうな』
(その言いつけは、多分聞けないけどな)