君色を探して
「兄さん…! 」
空の青さに見入っていると、ジェイダが飛びついてきた。
「っ、と……何やってんだ」
裾の長いドレスは、お転婆の妹には大変そうだ。
一歩手前で転びそうになったのを、どうにか抱き留める。
「本当にありがとう……! 」
満面の笑みが、更に空色の美しさを際立たせる。
青空なんて見慣れているのに、今日はどうも変だ。
(晴れてよかった、なんて)
思う日がくるとは、思ってもみなかった。
「……ああ」
何もしていない。
何もできなかった。
そんな言葉は、この場に相応しくないから。
レジーは何とか受け入れた。
思わず腕に力がこもったが、ジェイダが離れる気配はない。
大人になって再会した兄妹。
お互いどことなく、こうした触れあいは避けてしまうのだが。
今日は、ジェイダも興奮しているようだ。
(……でもまあ、ちょっとは癪だったんだぜ。ロイ? )
久しぶりに会えたかと思えば、可愛い妹がもう男といるなんて――さ。