君色を探して



「兄さん…! 」


空の青さに見入っていると、ジェイダが飛びついてきた。


「っ、と……何やってんだ」


裾の長いドレスは、お転婆の妹には大変そうだ。
一歩手前で転びそうになったのを、どうにか抱き留める。


「本当にありがとう……! 」


満面の笑みが、更に空色の美しさを際立たせる。
青空なんて見慣れているのに、今日はどうも変だ。


(晴れてよかった、なんて)


思う日がくるとは、思ってもみなかった。


「……ああ」


何もしていない。
何もできなかった。

そんな言葉は、この場に相応しくないから。
レジーは何とか受け入れた。
思わず腕に力がこもったが、ジェイダが離れる気配はない。

大人になって再会した兄妹。
お互いどことなく、こうした触れあいは避けてしまうのだが。
今日は、ジェイダも興奮しているようだ。


(……でもまあ、ちょっとは癪だったんだぜ。ロイ? )


久しぶりに会えたかと思えば、可愛い妹がもう男といるなんて――さ。






< 80 / 146 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop