君色を探して

男二人で話していると、ジェイダが腕を突ついてきた。


「兄さん、紹介するね」


呼ばれて視線をやると、いつの間にか彼女の隣にはジンがいる。


「……？ ああ」

「紹介ってね、お互い既に顔見知りよ……！ 」


ジェイダに無理矢理連れてこられたのか、ジンも抗議している。
しかしジェイダは受け入れず、なおも彼女の腕を引っ張った。


「トスティータで、すごく良くしてもらったの。お姉さんみたいに思ってる」


確かに、既に知っている情報だが。
レジー、ジンの当惑をよそに、にっこりして続けた。


「こちら、バージニア。よろしくね！ 」


笑顔で言われて、対処に困る。


「ジェイダ……」


それはジン――バージニアも同じらしい。
弱りきった顔で、視線を彷徨わせている。


「……妹が世話になったようで」

「はあ、まあ……否定はしないし、時々無茶苦茶ですが。今みたいに」


どうやら、むこうでも度々困らせていたようだ。
クスリと笑うと、彼女も照れたように笑ってみせた。


「よろしく。……バージニア」


通り名を使っていたのは、何か事情があるのでは――そう思うと、呼んでもいいものか迷ったのだが。


「……ええ。こちらこそ」


嫌がられなかったことにほっとし、そんな自分に驚いてしまう。

変だ。

何だかおかしな雰囲気になり、どうしていいか分からない。
見ればバージニアも俯いていて、ロイは仕返しとばかりにニヤニヤしている。
咳払いをし、もう一度隣に目を走らせる。
顔は見えなかったが、赤い毛先が揺れていた。
どうやら、彼女もこちらを見ていたらしい。

この色を好きになるのも、そう遠くないかもしれない。
思いのほか単純な自分に苦笑し、照れ隠しに空を仰いだ。







【Reggy・終】