君色を探して
あれは何歳の頃だったか。
父亡き後、キースが国王の補佐を引き継ぐことになった。
若すぎるとの声も、当然あったようだが。
表立って異議を唱える者はいなかった。
(能も度胸もないくせに、よく吠える)
絶対的な力は、程度はあれ独裁的な印象を生む。
まして、朗らかとは言えない人柄の王の使い走りなど、誰がなりたがるものか。
キースは完璧にこなした。
雑用に始まり、遊びの火消し、もちろん政務に至るまで。
『憐れだな、キース』
『……何がでしょう』
そのような言葉を投げられたのは初めてだった。
優秀で、何事も正確に遂行していくキース。
「気味が悪い」
「心がない」
などという感想には慣れていた。
そんなものはただの印象であるし、名も知らぬ無能な輩にどう思われようが構わない。
『……ふ』
王が笑った。
口許を緩めただけだったが、それでも驚愕の出来事だ。
『この国と同じ、凍りきれておらぬ。薄氷の目……だが』
言っている意味が分からない。
眉根を寄せると、彼はますます楽しげになる。
『そのままでいい。キース』
その先は聞かなかった。
聞こえないふりをした。
――私のようにはなるな。