君色を探して
・・・
『……いえいえ、よろしいのですよ。私は貴方様の雑用係……汚れ仕事……ええ、補佐官ですから。こうして仰せつかるだけでも光栄ですとも』
王の間で王本人よりも偉そうにしながら、溜息とも唸りとも知れない音とともにキースが不平を漏らす。
『……だったら、黙ってやれないのか』
面倒なのは分かっている。
アルフレッドだって、些か苛つきもすればげんなりもしているのだ。
『申し訳ありません。どうも私は、隠し事ができないタチでして』
『………………悪いが、穏便に済ませてくれ』
やはりキースは薄気味悪い。
嘘くさい笑顔は見るに堪えず、すぐさま背を向けた。
『仰せのままに。しかし、限度というものはあります』
――努々、お忘れなきよう。我が君。
何が「我が君」だ。
仕えているという自覚も敬意も、まるで感じられない言い方だった。寧ろ、
『女にうつつを抜かして、国を傾けるなよ。阿呆』
とでも、警告された気がした。
そして思うに、それは当たりだろう。
(……余計な世話だ)
そんなことは分かっている。
死ぬまで――少なくとも、ここに居座っていられるうちは――ただの男にはなれない。
エミリアに言ったことは真実であり、本心だ。
『私には殺せる』
何かあれば、確実に。
ただ、その時、苦しみを伴うか否か。
きっと泣き叫ぶだろう――そんなふうに思ってしまうようになった。
ただ、それだけのことだ。