君色を探して

・・・



「アルフレッド様……? 」


不安げに呼ばれ、ハッと意識を戻す。
見下ろせば、エミリアの瞳が心配そうに揺れていた。


「大丈夫だ」


何を問われた訳でもないのに、力強く返事をしていた。
僅かに熱を残した頬を撫でると、エミリアが心地よさそうに目を閉じる。
指先をくすぐる長い睫毛を見、吸い込まれるように口づける。


「あの……? 」


そのような行動に移る自分に、また苦笑いが漏れた。
これは言われた通り、腹を括るしかないだろう。

「愛している」

そう、伝える覚悟を。




エミリアの瞳が大きく開かれる。


「な……どう、なさったのですか」


これほど単純な一言が、何の飾りもない下手くそな愛情表現すら初めてだったのだと。
妻であるはずの彼女が、驚愕するほどの出来事だったのだと痛感する。


「受け取ってくれ、エミリア」


我儘だ。
これほど勝手な告白を受け入れてほしいなんて。


「でなければ……これ以上言えない」


あまり得意ではない。
これまでそんな必要もなければ、焦れることもなかったのだ。


「もう一度、聞かせて下さい」


願ってもない要求に笑みがこぼれる。


『愛している』


どうか伝わってほしい。
そう焦がれているなんて。



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