FUZZY







「理乃さん、俺のこと……きらい?」


未だ掴まれる手首は振り解けなかった。これが自分の甘さと心の弱さを意味しているのなんてとっくに自覚している。


「……きらいじゃない、けど、」

「けど?」

「……碧生くんの一番になれないなら、私の中にあるきみへの気持ちは捨てる。なかったことにする。全部」

「……理乃さん」


……言ったあとに後悔した。

めちゃくちゃメンヘラみたいだなって。侑芽が聞いたら「歳考えなさいよ、年下相手に」って笑われちゃうね。もういいんだ。メンヘラでも妖怪でもなんだっていい。





「一番もなにも、理乃さんと出会ってから俺は理乃さんしか見えてないし、理乃さん以外興味ないし、もう、理乃さんだけでいいんだよ!」


名前連発されてる…。

しかも碧生くんにしては力強い発言。




「理乃さんのことが誰よりもなによりも好き」



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