FUZZY
「碧生くん、ごめん。私、勘違いしてた。てっきり私以外にもセフレがいて、いや、もっと親しい人がいるんだって思ったら……その……私のことを好きだって言ったことも全部嘘になるし、それで…っ」
うまく伝えられない。
何から話せばいいのか分からず口から出るのは情けない言葉たち。散々、連絡を無視して、挙げ句の果てに勘違いでしたって笑えない。
笑えないんだけど目の前いるわんこの口元はゆるっと上がっている。
「それで?」
「え」
「俺が理乃さん以外の女の人と一緒にいるのを見てどう思ったの?」
「……」
「りーのさん」
「……妬きました」
……柄にもなく。
にこにこ笑顔の碧生くんは私をぎゅっと抱きしめた。胸元にぐりぐり〜と頭を押しつけてきたので、ほんのり濡れている髪を頬に感じながら私も彼を包み込んだ。
ああ、完敗。完敗に乾杯だ。
「でもね、俺も妬いたよ?」