FUZZY




二人掛けのソファーにちょこんと並んで温かい紅茶を飲む。

さっきまでテーブルを挟んでいたとは思えないな。話している内容はさっきと変わらず、といった感じなのだけど。





「……なんで妬いたの?妬く要素あったっけ」


そうそう。

碧生くんも妬いていたらしい。


「なんで妬いたか?妬く要素?……ありまくりでしょーが!」


紅茶が入ったマグカップをテーブルに置いて私の方を見た碧生くん。

お、怒ってるのかな?いや、頬をぷくうっと膨らませていて、怒るという表現よりも拗ねるの方が正しいのかもしれない。


「自分の彼女が他の男と一緒にいたら誰だって妬きますけど!しかも相手が天敵の弘実さんときた。あれだけ弘実さんとはべたべたしないでって言ったのに」


ぷくう。再び頬が膨らむ。


自分のことで精一杯だった私は碧生くんの気持ちまで考える余裕がなかったな、たしかに。自分、自分となっていたから。

碧生くんがどんな気持ちで私に寄り添ってくれたとか、ここまで来てくれたとか、これっぽっちも考えてなかった。……反省。


っていうか、今さらっと〝彼女〟って単語が出たと思うんだけど気のせい……?



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