FUZZY
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「ブーケがそこまで飛ばないのは風の流れと強さで分かっている。つまり、私たちのこの立ち位置は……なんの意味もない!!」
仁王立ちした侑芽が純白のウエディングドレスに身を包み幸せそうに微笑む花嫁を見ている。
花嫁が投げるブーケを絶対に取ってみせる!と意気込む女性は少なくない。なぜなら、ここに集まるのは全員独身だからね、私含め。
私はブーケが取れなくてもいいんだ。結局は自分で幸せを掴み取らないといけないから。しかも取れる取れないは運と瞬発力が大切だと思うから——…
「投げまーす!」
「よっしゃ、行くわよ!理乃!」
「えっ、」
そう、すべては運と瞬発力。
風の流れと強さ。
シュパッという心地の良い音と共に私の手には綺麗な花束が。
「……うそ、まじ?」