FUZZY
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「婚活パーティー予約しといたから今週の土曜日は空けといてね」
「は」
「あ、エビフライちょーだい」
宙に浮いたエビフライは数秒後にタルタルソースをたっぷりつけられ相手の口の中へ。
サクッサクッと食欲をそそる音がする。揚げ物の中で一番好きだから最後まで残していたのに呆気なく、意味もなく、奪われてしまった。
……まじで婚活パーティーってなに。
ミニトマトにフォークをさして口に運ぶ。奥歯で噛めばぷちっと中身が弾けて甘酸っぱさが舌を刺激した。
「……もう少し丁寧にわかりやすく説明してくれないかな?私、侑芽の言ってることがまったく理解できないんだけど」
同期の侑芽は私から奪ったエビフライをゴクリと飲み込み、私の顔をじっと見る。そして全身の力が抜けたのかテーブルに項垂れた。
「私らさ、もうアラサーなわけよ」
「うん、そうだね。25だし」
「周りは結婚したり子供が生まれたり幸せそうじゃん?」
「うん、素敵だよね」
「私も結婚したい!子供がほしい!」
「…………だから婚活パーティー?」
「そうだよ、私一人じゃ心細いから理乃も勝手に予約しちゃった!へへ」
へへ、じゃないよ!!