FUZZY






「…ひとりじめしたいって言われたんです。あと、〝いってらっしゃいができるの嬉しい〟って。そんなこと言われたの初めてで、胸のこの辺が擽ったいな〜って」

「へえ、楽しそうじゃん」

「楽しそうに見えます?!」

「うん、見える」

「適当ですね」

「ていうかさ、そうやって相手のことで悩んだり考えたりするってことは少なからずどうでもいい相手じゃないわけで。表面だけ見ても答えが見つからないなら行動するしかないんじゃない?ま、俺の場合は透子ちゃんが連絡してくれたから今があるんだけどね」

「透子ちゃん?」

「俺のかわいい彼女の名前。えっと、透明の〝透〟に子どもの〝子〟でトウコって読むんだけど、たまに、とこちゃんって呼んだらめちゃくちゃ喜ぶ」


……き、聞いてね〜〜!!

でもめちゃくちゃ嬉しそうに話してるからこっちまで笑顔になる。彼女溺愛の樋井先輩。こんなの女性社員が見たら発狂ものだな…。


先輩は、お礼はこれでいいよ、って言いながら私がデザートで買ったとろとろぷりんを持って行った。いや、それは違うだろーよ。

でも同じ境遇の人に話せてちょっと心が軽くなったのには変わりないからまた改めてお礼しとこ。


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