FUZZY






せっかくのふたり時間を大男が邪魔をしてきた挙げ句、なぜか家の中にまで押しかけてきたのでとても嫌な気持ち。

偶然にもぷりんは三つあって、「碧生くんもどうぞ」と理乃さんからいただいてしまった。弘実が持ってきたけど理乃さんから受け取ったからつまりはそういうこと。都合よくできている頭でよかった、よかった。


「で、なんで天(同期会をした居酒屋)のバイトがここにいんの?お前ら知り合いだった?」


ぷりんが俺の舌の上で溶けた時、弘実は理乃さんをちらり見る。彼女は「うん、知り合いだよ」と隠す様子もなく答えた。

そこから、なんで?とか、どこで?とかしつこいぐらいに質問してくるからまじでメンヘラ彼女かよってつっこみそうになった。

弘実って理乃さんのことがめちゃくちゃ好きなんだと思う。幼なじみとしてじゃなくて、多分本気のやつ。つまり、ライバルだ。


「家に入れる意味がわかんねえ」

「こんな遅くにぷりん持ってくるのもどうかと思いますけどね」

「俺は理乃の好物をいち早く届けたかっただけ。ガキは家でレポートでもしてろよ」

「レポートは終わりました。俺は自由なので理乃さんとこうしてふたりっきりで過ごしてたのに弘実さんが邪魔するから」

「弘実さんって呼ぶな、きもちわりい」


心の中では呼び捨てだよ、あんたのことなんか。



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